子どもが学校に行かなくなると、保護者の方はさまざまな心配を抱えることになります。
その中でも、勉強についての不安は大きいのではないでしょうか。
「学校に行っていない間、勉強はどうすればいいのだろう」
「このままでは、授業についていけなくなるのではないか」
「勉強するように声をかけた方がいいのか、それとも見守った方がいいのか」
子どものことを思うからこそ、どう接すればよいのか迷うこともあると思います。
今回は、不登校の子どもの学びを家庭でどのように支えていけばよいのか、私がこれまで教育現場で経験してきたことも踏まえながら考えてみたいと思います。
勉強を始める前に大切にしたいこと
不登校の子どもへの学習支援を考えるとき、まず大切にしたいのは、子どもが今どのような状態にあるのかを理解することです。
学校に行けなくなった理由や、そのときの気持ちは一人ひとり異なります。
学校での人間関係に疲れている子どももいれば、勉強についていくことに苦しさを感じている子どももいます。また、理由をうまく言葉にできない場合もあります。
そうした状態のときに、周囲が勉強を急がせても、なかなか前向きな気持ちにはなれないかもしれません。
まずは、家庭が安心して過ごせる場所であること。そして、子どもの気持ちや状態に目を向けることが大切です。
もちろん、勉強のことを考えなくてよいという意味ではありません。
ただ、学び始める時期や方法は、子どもの状態に合わせて考えていく必要があります。
家庭でできる3つの学習サポート
家庭での学習支援というと、保護者が勉強を教えたり、学習計画を立てたりすることを思い浮かべるかもしれません。
しかし、必ずしも保護者が先生の役割を担う必要はありません。
家庭だからこそできる支え方があります。
1.学習のきっかけをつくる
長い時間、机に向かうことだけが勉強ではありません。
興味のある本を読むこと、ニュースについて話すこと、身近な出来事を調べることなども、学びにつながります。
例えば、好きなゲームに登場する歴史上の人物について調べたり、料理を通して分量や割合を考えたりすることもできます。
こうした身近な活動が、学習への関心を取り戻すきっかけになる場合があります。
大切なのは、すべての活動を無理に勉強へ結びつけようとしないことです。
子どもが興味を持ったことを一緒に楽しみ、その中で自然に生まれる疑問や発見を大切にしてみてください。
2.小さな目標から始める
子どもが勉強に取り組めそうな状態になったら、最初から大きな目標を立てる必要はありません。
例えば、「今日は数学の問題を2問解いてみる」「英単語を5つ確認する」「10分だけ学習してみる」といった小さな目標でもよいのです。
ここで大切なのは、目標を大人が一方的に決めるのではなく、子ども自身が納得して取り組めるようにすることです。
予定どおりに進まない日があっても、それだけで失敗と考える必要はありません。
無理のない範囲で取り組みながら、自分に合った学習の進め方を少しずつ見つけていくことが大切です。
3.できたことに目を向ける
勉強の遅れが気になると、どうしても「まだできていないこと」に目が向きやすくなります。
しかし、学習への自信を育てるためには、「できるようになったこと」や「取り組めたこと」にも目を向けたいものです。
昨日は教科書を開くことができなかった子どもが、今日は少し読んでみた。
以前は難しいと感じていた問題が、自分の力で解けるようになった。
そうした小さな変化にも意味があります。
ただし、何でも褒めればよいというわけではありません。
「今日は自分で問題を選んだんだね」「前より解き方がわかってきたね」というように、具体的な事実を伝えることで、子ども自身も自分の変化に気づきやすくなります。
保護者が先生になる必要はありません
家庭での学習を考えるとき、もう一つ大切にしたいことがあります。
それは、保護者が勉強のすべてを引き受ける必要はないということです。
学校に通っていない分、家庭で何とかしなければと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、親子の間で勉強を教えようとすると、思うように進まず、お互いに感情的になってしまうこともあります。
勉強のことで言い争いが増え、家庭で過ごす時間そのものが苦しくなってしまっては、子どもにとっても保護者にとってもつらいことです。
保護者には、子どもの日々の暮らしを支え、安心できる関係を築くという大切な役割があります。
学習については、学校の先生や相談機関、外部の学習支援などの力を借りることも、一つの方法です。
家庭だけで抱え込まず、子どもの状態に応じて支援の方法を考えていくことが大切だと思います。
子どもが自分から学び始めるために
私が学習支援で大切にしているのは、単に問題が解けるようになることだけではありません。
子ども自身が「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を少しずつ考え、自分の力で学習を進められるようになることです。
最初は、誰かと一緒に学習内容を決めたり、わからないところを教えてもらったりする必要があるかもしれません。
しかし、そうした経験を重ねる中で、自分に合った学び方を見つけていくことができます。
学習が思うように進まないときには、その原因を一緒に考え、必要に応じて方法を変えてみる。
できるようになったことを振り返り、次の目標を考える。
こうした積み重ねが、自立的に学ぶ力を育てていくのだと思います。
学校に通っているかどうかにかかわらず、学ぶことはできます。
そして、その学び方は一人ひとり違っていてよいのです。
おわりに
不登校の子どもの学習について、すぐに答えを出すことは難しいかもしれません。
子どもの状態も、学びに向かう気持ちも、日々変化していきます。
だからこそ、周囲の大人が焦りすぎず、小さな変化を大切にしながら支えていくことが必要なのではないでしょうか。
家庭でできることを少しずつ試しながら、必要なときには外部の力も借りる。
そのような関わり方が、子どもが再び学びに向かうための支えになると考えています。
自立学習サポート あすなろでは、不登校の中学生を対象に、一人ひとりの状況に合わせたオンラインでの伴走型学習サポートを行っています。
学習内容だけでなく、学習の進め方や目標の立て方も一緒に考えながら、自分で学ぶ力を育てることを大切にしています。
学習についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

