学校に通っていない間の勉強について、保護者の方からは「どのように勉強を進めればよいのかわからない」「自分から勉強するようになってほしい」といった声を聞くことがあります。
学校では、時間割に沿って授業が進み、先生が学習内容を決めてくれます。しかし、家庭で学習する場合には、何を、いつ、どのように勉強するのかを考える必要があります。
これは、子どもにとって簡単なことではありません。
一方で、自分に合った学び方を少しずつ見つけていくことは、これから先の学習にもつながる大切な経験になります。
今回は、不登校の中学生が自分に合った学び方を見つけるために、どのようなことを大切にすればよいのかを考えてみたいと思います。
学び方は一人ひとり違っていてよい
同じ学年の子どもであっても、得意な教科や苦手な教科、集中できる時間、理解しやすい説明の仕方は異なります。
教科書を読んで理解することが得意な子どももいれば、動画で説明を聞いた方が理解しやすい子どももいます。
問題を解きながら覚えることが合っている場合もあれば、まずは基本的な内容をゆっくり確認する方がよい場合もあります。
学校では、集団で授業を進めるため、すべての子どもに合わせて学習方法を変えることは難しい面があります。
しかし、家庭での学習には、自分の理解度やペースに合わせて取り組めるという特徴があります。
大切なのは、「みんなと同じ方法で勉強しなければならない」と考えすぎないことです。
自分にとって取り組みやすく、理解しやすい方法を探していくことが、学習を続けるための第一歩になります。
自分に合った学び方を見つける3つの視点
自分に合った学習方法を考えるとき、最初から理想的な計画を立てる必要はありません。
まずは、次の3つの視点から考えてみるとよいでしょう。
1.学習する時間を考える
学校の授業と同じように、朝から決まった時間に勉強しなければならないわけではありません。
午前中の方が集中できる子どももいれば、午後になってからの方が取り組みやすい子どももいます。
また、最初から長時間の学習を目指す必要もありません。
例えば、10分程度から始めてみて、無理なく取り組めるようになったら少しずつ時間を延ばしていく方法もあります。
大切なのは、生活リズムや心身の状態にも目を向けながら、自分にとって取り組みやすい時間を見つけることです。
2.自分に合った教材を選ぶ
学習に使う教材も、一つに決める必要はありません。
教科書や問題集だけでなく、学習動画やデジタル教材など、さまざまな選択肢があります。
例えば、数学でわからないところがあれば、前の学年の内容に戻って確認することもできます。
英語であれば、単語や基本的な文の仕組みから学び直すこともできるでしょう。
学年にとらわれず、理解できているところから始めることが大切です。
ただし、教材を次々と変えるだけでは、学習の成果を実感しにくくなることもあります。
まずは取り組みやすい教材を一つ選び、実際に使ってみてから、自分に合っているかを考えるとよいでしょう。
3.小さな目標を自分で決める
学習を続けるためには、目標を持つことも役立ちます。
ただし、「毎日3時間勉強する」「1か月で教科書を終わらせる」といった大きな目標は、最初から立てる必要はありません。
「今日は数学の問題を3問解く」「英語の動画を1本見る」といった小さな目標でも十分です。
ここで大切なのは、できるだけ子ども自身が目標を決めることです。
大人から与えられた目標をこなすだけでなく、自分で考えて決めたことに取り組む経験が、自立的な学習につながっていきます。
もちろん、最初から一人で決めることが難しい場合には、大人がいくつかの選択肢を示し、その中から選んでもらう方法もあります。
うまくいかないときは、学び方を変えてみる
自分で決めた学習計画であっても、いつもうまく進むとは限りません。
集中できない日もあれば、思っていたより問題が難しく、予定していたところまで進まない日もあります。
そのようなときに、「自分は勉強ができない」「計画を守れなかったからだめだ」と考えてしまうと、学習への意欲を失ってしまうことがあります。
大切なのは、計画どおりに進まなかった理由を考え、必要に応じて方法を変えてみることです。
例えば、30分の学習が難しければ15分にしてみる。問題が難しすぎるのであれば、少し前の内容に戻ってみる。
文章を読むことが負担になっているのであれば、動画で説明を聞いてみる。
こうした工夫を重ねることで、自分に合った学習方法が少しずつ見えてきます。
学習計画は、一度決めたら必ず守らなければならないものではありません。
自分の状態に合わせて見直していくことも、大切な学習の力なのです。
自立的に学ぶことと、一人で学ぶことは違う
「自分で学ぶ力を身につける」というと、誰の助けも借りずに勉強できるようになることだと思われるかもしれません。
しかし、私はそうではないと考えています。
自立的に学ぶということは、自分で目標を考え、学習方法を選び、必要に応じて周囲の力を借りながら学びを進めていくことです。
わからない問題があったときに、教科書を調べたり、学習動画を見たり、誰かに質問したりすることも、その一つです。
自分が何に困っているのかを考え、必要な助けを求められることも、大切な力だと思います。
そのためには、最初からすべてを子どもに任せるのではなく、少しずつ自分で決められることを増やしていく関わり方が必要です。
大人が学習のすべてを決めるのでもなく、子どもにすべてを任せるのでもない。
一緒に考えながら、少しずつ子ども自身に学習の主導権を渡していくことが大切なのではないでしょうか。
自分で学ぶ力を少しずつ育てるために
私は30年間の教員生活の中で、子どもが自分で考え、工夫しながら学習に取り組むことの大切さを感じてきました。
学習内容を理解することはもちろん重要です。
しかし、それと同じくらい、自分の学習の状態を知り、次に何をすればよいのかを考える力も大切だと思います。
最初は、大人と一緒に学習内容を決めるところから始めてもよいでしょう。
学習が終わったら、「今日は何がわかったか」「次は何をしてみたいか」を振り返る。
そうした小さな経験を積み重ねることが、自分で学ぶ力につながっていきます。
自立学習サポート あすなろでは、こうした考え方を大切にしながら、不登校の中学生の学びを支えています。
一人ひとりの状況に合わせて学習内容や進め方を一緒に考え、少しずつ自分で学習を進められるようになることを目指しています。
おわりに
自分に合った学び方は、最初からわかっているものではありません。
実際に試してみて、うまくいったことや難しかったことを振り返りながら、少しずつ見つけていくものです。
その過程では、思うように進まないこともあるでしょう。
しかし、学習の方法を自分で考え、必要に応じて変えていく経験は、これから先の学びにも役立つはずです。
学校に通っていなくても、自分に合った方法で学ぶことはできます。
そして、その学びを一人だけで進める必要もありません。
子どもが自分のペースで学びながら、自分で学ぶ力を育てていけるように、周囲の大人が支えていくことが大切だと考えています。
自立学習サポート あすなろでは、不登校の中学生を対象に、オンラインでの伴走型学習サポートを行っています。
学習の進め方についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

