「学び直し」は、どこから始めればいい?

春の柔らかな陽光が差し込む室内で、ノートと教科書を使って自分のペースで学習する中学生

不登校の期間が長くなると、保護者の方から「学校の勉強にどんどん遅れてしまうのではないか」「今から勉強を始めるとしても、何から取り組めばよいのか分からない」といった声を聞くことがあります。

中学生の学習内容は、小学校で学んだことを土台にしながら、学年が進むにつれて少しずつ難しくなっていきます。学校の授業を受けていない期間があると、学習内容に分からないところが生じるのは自然なことです。

しかし、勉強に遅れがあるからといって、学ぶ力そのものが失われたわけではありません。

大切なのは、学校の進度に無理に追いつこうとすることよりも、今の自分が理解できているところを確かめ、そこから学び直していくことです。

今回は、不登校の中学生が学び直しを始めるときに大切にしたい考え方と、具体的な進め方についてお伝えします。

目次

学習の遅れを、必要以上に心配しなくてもよい

学校では、年間の学習計画に沿って授業が進められています。そのため、授業を受けていない期間があると、教科書の進度と本人の理解との間に差が生じることがあります。

保護者の方にとっては、その差が大きく見えるほど、不安も強くなるかもしれません。

けれども、学習の進度と理解の深さは、必ずしも同じではありません。

授業で一度学んだ内容でも、十分に理解できていないことがあります。反対に、学校でまだ習っていない内容でも、本人の興味や得意分野によっては理解できることがあります。

大切なのは、教科書の何ページまで進んだかだけではなく、何が分かっていて、何がまだ分からないのかを確かめることです。

学び直しは、遅れを取り戻すためだけのものではありません。これまでの学習を振り返り、自分の理解を確かなものにしていく機会でもあります。

学び直しは「分かるところ」から始める

学び直しを始めるとき、現在の学年の教科書を最初から読み直そうとするとします。

もちろん、それが本人に合っている場合もあります。しかし、途中に理解できていない内容があると、学習を進めること自体が負担になってしまうかもしれません。

例えば、中学2年生の数学で一次関数を学ぼうとしたとき、小学校の比例や中学1年生の文字式の理解が十分でなければ、内容を難しく感じることがあります。

そのような場合には、前の学年の内容に戻って確認することが有効です。これは決して後退ではありません。理解が不十分なところを見つけて学び直すことは、その先の学習を進めるための土台づくりです。

また、すべての教科を同時に学び直す必要もありません。まずは本人が取り組みやすい教科や、少し興味を持てる内容から始める方法もあります。

「ここなら分かる」「これならできそう」と感じられるところを見つけることが、次の学習につながっていきます。

学び直しを進めるための3つの工夫

学び直しを無理なく続けるためには、学習内容だけでなく、進め方も工夫すると学習効果も得られやすくなります。

1.取り組む内容を小さく絞る

「数学を復習する」「英語を最初からやり直す」といった人い目標は、学習範囲が広く、何から始めればよいのか分かりにくいものです。最初から多くの課題をこなそうとする必要はありません。

例えば、「正負の数の計算を3問解く」「英単語を5つ確認する」というように、取り組む内容を小さく絞って具体的にしてみます。

取り組む内容がはっきりすると、学習を始めるときの負担が小さくなり、終わったときにも達成感を得やすくなります。

2.短い時間から始める

しばらく学習から離れていた場合、最初から長時間集中することは難しいかもしれません。

まずは10分程度など、本人が無理なく取り組める時間から始めてもよいでしょう。大切なのは、決めた時間を必ず守ることではなく、学習に取り組める状態を少しずつつくっていくことです。

体調や気持ちによって、取り組める日もあれば、難しい日もあります。その日の状態に合わせて時間や内容を調整しながら、少しずつ自分に合った学習のリズムを見つけていきます。

3.「できたこと」を確かめる

学び直しでは、分からないところばかりに目が向きやすくなります。しかし、学習を続けるためには、「できるようになったこと」に目を向けることが大切です。

昨日は解けなかった問題が解けた。以前は分からなかった言葉の意味が分かった。短い時間でも自分から机に向かえた。そうした小さな変化を確かめることで、自分の学習が少しずつ前に進んでいることを実感できます。

正解した問題の数だけでなく、自分で考えたこと、試してみたこと、取り組もうとしたことも大切な学習の成果です。

保護者は、学習の進度よりも本人の様子に目を向ける

お子さんの学習の遅れが気になると、「今日はどこまで進んだの?」「もっと勉強しなくて大丈夫?」と声をかけたくなることもあるでしょう。それは、お子さんの将来を心配する気持ちから生まれる自然な思いだと思います。

ただ、本人も学習の遅れを気にしている場合には、進度を確認されることが負担になることがあります。そのようなときには、勉強の量や結果だけでなく、本人がどのような気持ちで取り組んでいるのかに目を向けてみてください。

「今日はこの問題が分かったんだね」

「自分でやり方を考えたんだね」

「難しいところに気づけたんだね」

こうした声かけは、本人の取り組みを認めることにつながります。

もちろん、学習について話すこと自体が負担になる時期もあります。その場合には、無理に勉強の話題を持ち出さず、安心して過ごせる時間を大切にすることも必要です。

学び直しを始める時期や進め方は、一人ひとり異なります。

保護者がすべてを教えたり、学習計画を管理したりする必要はありません。必要に応じて外部の支援も活用しながら、お子さんが自分のペースを見つけられるように関わっていくことが大切です。

学び直しは、自分で学ぶ力を育てる機会にもなる

学び直しを進める中では、「どこが分からないのか」「次は何を学べばよいのか」を自分で考える場面が生まれます。

最初は、誰かと一緒に確認しながら進めても構いません。分からないところを見つけ、必要な教材を選び、取り組んだ結果を振り返る。こうした経験を少しずつ重ねることが、自分で学習を進める力につながっていきます。

自立的に学ぶということは、誰の助けも借りず、一人ですべてを解決することではありません。必要なときに質問したり、支援を求めたりすることも、自分で学ぶための大切な力です。

おわりに

不登校によって学校の授業から離れている期間があっても、学び直しを始めることはできます。そのときに大切なのは、遅れを一度に取り戻そうとすることではなく、今の自分が理解できるところから、一歩ずつ進んでいくことです。

前の学年に戻ることも、短い時間から始めることも、決して遠回りではありません。

「分かった」「できた」という経験を積み重ねながら、自分に合った学び方を見つけていく。その過程そのものが、これからの学びを支える力になっていくと考えています。

自立学習サポート あすなろでは、不登校の中学生が自分のペースで学び直し、自立的に学ぶ力を育てられるよう、一人ひとりに合わせたオンライン学習支援を行っています。

学習の進め方についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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